NHKは時々すごいドキュメントを放送することがありますね。
ETV特集の放射能汚染地図は見落としたのですが、文化庁芸術祭大賞他を受賞するなど、かなりの出来栄えだったようです。
この本「ホットスポット」(NHK ETV特集取材班 講談社 \1600)は、その番組の制作にあたり、現地取材を行ったディレクターやスタッフ、研究者達7名によるレポートです。
若くて行動力があり放射能の現地調査に情熱を燃やす木村さんと、老齢ながら豊富な経験と驚嘆すべき放射能測定術を持つ岡野さんという二人の技術者(博士)の力を借りて、採取試料の分析を京大原子炉実験所、広島大、長崎大に依頼し、測定器を搭載した車に乗り込み、現地の路上を縦横に走るうちに、当時まだ知られていなかった30km圏外のホットスポット(高放射能ゾーン)が浮かび上がってくる・・・企画から放射能実測そして取材へと至るこの過程そのものがまさにドキュメンタリーで、思わず一気に読んでしまいました。
手分けして行った現地取材のあれこれももちろん書かれているのですが、その内容は省きます。
別の角度で興味深いのは、「情報を住民に伝えようとしない」政府の姿勢や、NHKの報道姿勢の内情まで窺い知ることが出来ること。
局内で、一旦飛ばされた(現場を外された)人が、突如降って湧いた原発事故により、過去の放射能取材の経験を買われ、再度現場に呼び戻されるいきさつや、取材途中で、局の上層部から「小出さん(京大原子炉実験所助教)との協力は偏向取材ではないか」と詰め寄られ、あわや番組のオンエアが流れそうになるエピソードなども書かれています。
何も触れられてはいませんが、この本の出版元がNHK出版でないというのも、何かいわくがあるように思われてなりません。
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