2013年10月14日月曜日

リレーフォーライフ大手前に参加して

リレーフォーライフとは、夜を徹して、ほぼ24時間リレー方式で歩き続けるがん患者支援イベントであり、これと共に講演会やステージなど多彩な催しが同時並行的に行われます。募金を集めるということが大きな狙いであることは事実ですが、がん患者(サバイバー)にとっては、誰に遠慮することもなく、サバイバー(体験者)だと胸を張れる場所であり、毎年参加するサバイバーにとっては、また会えたねと、お互いの生あることを喜び会え、心が癒される場でもあります。「究極の緩和ケア、ここにあり!」と言っても過言ではないのでは。
会場に居るとともかくほっとしますね・・・理屈抜きにこういう場所は大切にしたいと思っています。

このたびは(9/12~13)大阪府立大手前高校で開催された「リレーフォーライフ」に参加してきました。公立高校で開催の運びとなったのには、それなりの理由があります。是非、この新聞記事を読んでみてください。


日本対がん協会のブースでは、リレーフォーライフで集まった募金の使途を広報していました。
昨年のRFLでは5500万円が集まり、プロジェクト未来(若手医師の養成)に1500万、がん専門医の育成に1000万、無料電話相談に1200万、検診・受診率アップに700万、RFL運営費に1100万が使われています。

日が暮れると、会場にはそれぞれの思いを書き込んだルミナリエの灯りが灯り、落ちついた時間帯となります。

リレーフォーライフのハイライトとも言える、エンプティテーブルという催しでは、誰も座っていない一組のテーブルとイスが並べられ、白いテーブルクロスとその上に置かれた赤いバラ、一切れのレモンと一つまみの塩の意味を説明をする詩が読み上げられ、誰も座っていない椅子に、それぞれの参加者がこの世を去った身近な人の姿をイメージするわけですが、今回は、わざわざ教室で使う机と椅子を用意し、それに寄りかかるように鈴君の使っていた剣道の用具を立てかけ、(鈴君は剣道部の部長でした)剣道部の後輩が鈴君への思いを語る中、会場の多くの人が、一人の亡くなった高校生に対し、一体となって追悼の思いを現わしました。このようなスタイルは、これまでのリレーフォーライフの中でも始めてのことであり、鈴君への追悼と悲しみの中にも、鈴君のやりたかったリレーフォーライフをこういう形で引き継げたという感激が渦のように会場を取り巻いて静かな熱気を与えていたようにように思います。

やがて大阪城が紫色にライトアップされました。
会場のグランドからは、建物の影になり直接見ることはできないのですが、インターネットの配信により、会場に設けられたスクリーンにも、紫色の天守閣が浮かび上がりました。
これは、西の丸庭園の北寄りから写した天守閣のライトアップです。

ステージでは、鈴君が好きだったと言う歌の熱唱が続いています。

深夜2時ごろになると、ローソクの日が燃え尽きて、順次ルミナリエが消え始めます。ローソクを取り変え、新たに火を灯す作業が4時頃まで続きました。
日が変わって、また歩きはじめる人も増えてきました。主治医だった原先生(市立総合医療センター)のステージ上でのお話もありましたが、そのあと鈴君のご両親と主治医の心温まる会話の場面を目にし、主治医との信頼関係も十分にあったことが伺い知れました。

会場で作成された、鈴君の似顔とそれを取り巻くコラージュ作品がステージで披露されました。鈴パパが鈴君の写真を胸の前に掲げながら、この作品に対し、お礼と感想を述べられているところです。

この会場では、鈴之介君の思いを継ごうとする高校生達の若々しい姿が目立ち、これまで私が体験したリレーフォーライフとはちょっと違った、すばらしいイベントとなりました。
これは実行委員長(増田悦子さん)のフィナーレでの挨拶の締めくくりに、みんなで「リレー・フォー・ライフ」と叫びながら、腕を突きあげているところ。

私自身は、去年のリレーフォーライフ貝塚に参加した折に、病を押してステージに立ってくれた鈴君の姿を目に留めていたわけですが、9月に行ったRFL芦屋で、たまたまRFL大手前のTシャツを着ておられるご夫婦をお見かけし、声を掛けさせていただいた所、それが鈴君のご両親だったことが後ほど判明、このたびは、深夜、雑用のお手伝いをしながら、RFL大手前の実行委員でもある鈴君のご両親とも、ゆっくりお話しをする時間も持てて、素敵なご両親に育てられ、学友からの信頼の厚かった鈴君への思いをさらに深めることができました。
皆さんも、もし、お近くにこのようなリレーフォーライフが開催されておりましたら、思いきって参加されてみてはいかがでしょうか。
あれこれ、細かい内容を説明するよりは、会場の雰囲気を直接体で味わったほうが早いと思います。
それぞれの会場で、かなり雰囲気は異なりますが、募金の多寡や政治的な絡みにはできるだけ関わらず、リレーフォーライフをやりたいというストレートな思いが形となって反映されること、それが一番大切な事だし、一番の魅力ではないでしょうか。